hitoriの卵焼き

砂糖味、塩味、しょうゆ味、不思議な味。あなたはどれが好きかな。

十二日目 永六輔

十二日目 永六輔


     家庭というのは こんがらがった糸ですよ。
    こんがらがっているから家庭なんです。
    ほどくとバラバラになっちゃいますよ。
    貧乏ひまなしならいいんだよ。
    貧乏でひまがあると・・・淋しいよ。


  家庭って、それぞれ違った味がある。
  そりゃそうだよ、その過程独自の時間を
  長い間に作っていきているんだもの。

 

  同じ顔を毎日付き合わせ、
  お互いを知り尽くしているから、
  安心できる。

 

  癖のある性格も包み込む。
  いつもと変わらない、マンネリの場所だからこそ、
  落ち着くんだよ。


  誰か一人の理想に合わせることもなく、
  川が流れるように、時が過ぎる。

 

  川って大きくなればなるほど、静かに流れる。
  脇から汚れた水が流れ込んでも平気。
  大きな川はそれくらいでは濁ることはない。

 

  昨日の出来事ですが、
  ご近所の家の玄関先の様子に驚かされました。
  息子さんが、何やら白い粉のような物を
  車に降りかけているんです。

 

  「今、車に降りかけていた物は何ですか?」
  「塩です」
  「いつもそうするの?」
  「はい」

 

  今日、その家のお母さんに話を聞きました。
  その方のお母さんが、いつもそうしていらしたそうです。
  それで、自分も息子も同じようにしていると話してくれました。

 

  そのお家だけで、住んでいた地域がそうだったというわけではないそうです。
  気休めのような習慣だと言いますが、
  遠い昔は、みなさん邪気払いにされていたのかもしれない習慣なのでしょうね。

 

  嫁姑がうまくいかないなんて話、よく聞きます。
  うまくいくはずがないんです。
  一緒に暮らした年数が違うのですから、
  息子が母親を理解する気持ち、愛、
  短い付き合いの嫁が、理解できるわけがないんです。

 

  できた嫁だと言われるような方は、
  我慢と謙虚の塊のような方です。

 

  でもそれも時間がたてば、お互いに理解できるようになりますよ。

  こんがらがった糸はそのままにしておきましょう。