hitoriの卵焼き

砂糖味、塩味、しょうゆ味、不思議な味。あなたはどれが好きかな。

八日目 宮崎駿

 八日目 宮崎駿

 

  目の前の子どもに
 「生まれてきてくれてよかった」って言いたい気持ちがあるから
 映画を作ろうと思うんです。

 

  何なんだろう?
  私が、お話を書いたり、こうやってるのって、なぜなのかなぁ。
  自分でもわからない、伝えたいことがあるんだね。


  子どもが生まれてくると、すごく嬉しい。
  男の子がいいとか、女の子がいいとかあるけど、
  とにかく嬉しい。

  三人目を産んだとき、
  「ああ、また男の子だった」
  少しがっかりしたけど、その分、その子をいっぱい遊んだ。

  成長の遅いことも気にならなかった。
  一人ひとり違うから、この子はゆっくりなんだね。
  他の子と比べることもなく、。。。

  それが、四人目の子が生まれてから、
  赤ん坊に手がかかるから、幼稚園に行かせることになった。

  まったくの不器用で何もできない子。
  服のバタンがかけられない。
  毎日、練習させたが、難しいようだった。

  その子が、楽しく幼稚園に通い始めて、
  五ヶ月後、けいれん発作を起こし、入院した。

  ああ、もっと早く気がついてあげればよかった。
  この子の不器用は、病気だったんだ。

  しかし、その半年後には、小学校に入学です。
  入学予定の校長先生に相談したところ、
  「お母さんがご心配なら、療育センターに相談されてみませんか」
  と提案され、行くことにしました。

  センターで、運動能力や知能も調べていただき、
  知的障害であることがわかりました。

  親としてできることを考えました。

  障害と生きるのは、本人なのです。
  親は手助けしかできません。
  本人が、将来のために一番良いものを選んであげる。

  制服まで注文していた地域の学校をお断りして、
  支援の受けられる学校に変更したのが、入学ひと月前。

  今は、もう30歳になります。
  この子を通していろんなことを感じ、教えられました。

  「生まれてきてくれてありがとう」

  時々、町で見かける障がいを持つ方を見ると、
  「元気な顔をありがとう」
  そう声をかけたい気持ちです。