hitoriの卵焼き

砂糖味、塩味、しょうゆ味、不思議な味。あなたはどれが好きかな。

百一日目  宇野千代   千代的 幸福な生き方

 百一日目  宇野千代

 


     私たちは 不幸なことと
     幸福なことを混同して、
     一つの不幸があると、その不幸で
     すべてのことを塗りつぶしてしまいます。
     しかし、その不幸で、
     全人生を塗りつぶして好いでしょうか。


  人の周りには、幸せと不幸せが
  同じ数だけあるものです。
  どちらに焦点を合わせるかは自分次第。

 

     私はこれまでの
     私自身の生活の中で、一度でも
     自分の生活を「人生は一回しかない」と
     思ったことがあるだろうか。
     他人の人生は一回しかないとしても、
     自分自身の人生は何回でもあって、
     何回でもやり直しがきく、
     と思い込んでいた。
     そして実際、私はいつでも
     何回でも人生をやり直した。


  やり直しのできる人って、
  自分を不幸だなんて思っていないの。
  いろんな道があるんだなぁくらいの感覚ね。
  
  こうなっちゃったんだもの仕方ないわ。
  次はどうしたらいいかしら、なんて考える。
  いわゆる前向きな考えで生きているのよ。

 

     幸福は
     自分の心にも反射するが、
     また、多くの
     人々の心にも反射する。


  幸せを感じて生きている人は、
  周りもよく見ている。

  自分がニコニコすると、
  周りもニコニコすることを知っている。

  不機嫌さを顔に出す人は、
  はっきり言えば、自分しか見えていない。

 

     幸福も不幸も、
     ひょっとしたら その人自身が
     作るものではないのか。
     そして、その上に、
     人の心に たちまち伝染するものではないのか。
     とすると、自分にも他人にも
     幸福だけを伝染させて、
     生きていこうと、私は思う。

 

     最も身近な人を幸せにすることは
     最も難しいことであり、
     それ故に最も価値のあることである。


  身近な存在って、意識しないと
  つい当たり前の存在になってしまう。
  何をしてくれても当然、そんなことはないだろうか。
  家族や親友を喜ばせようとしたのは、いつのことですか?
  思い出せないくらい前?


     一歩を踏み出した人間には
     すでに過去は消え、
     目の前には洋々たる道が
     ひらけてくるのです。


  優しさや愛にあふれた人になるために、
  今から、微笑み、話してみてはどうですか。