hitoriの卵焼き

砂糖味、塩味、しょうゆ味、不思議な味。あなたはどれが好きかな。

九十四日目  夏目漱石  同じ言葉が人によって変わる

 九十四日目  夏目漱石

 

    呑気と見える人々も、
    心の底を叩いて見ると、
    どこか悲しい音がする。


  何事もなく、すんなりと人生を送ることのできる人はいない。
  家族がいて、学校や会社といった
  社会との関わりの中で生きていく。
  楽しいことばかりではないもの。


    鋳型に入れたような悪人は
    世の中にあるはずがありませんよ。
    平生はみんな善人なんです。
    少なくともみんな普通の人間なんです。
    それが、いざという間際に、
    急に悪人に変るんだから
    恐ろしいのです。


  嫌なことも経験しなくてはならない。
  悲しいこともある。
  逃げなければならないこと、
  勇気をもって、立ち向かわなければならないこと、
  涙とともに忍ばねばならないことだってある。

 

    自分に誠実でないものは、
    決して他人に誠実でありえない。


  自分だけはいつも誠実でありたい。
  誰もがそう望みながら、
  その難しさを感じている。

  それは、誰も見ていないときに、
  その確かさが示されるものだから。

 

    ある人は十銭をもって 一円の十分の一と解釈する。
    ある人は十銭をもって 一銭の十倍と解釈する。
    同じ言葉が人によって高くも低くもなる。


  物事を測る自分だけの「ものさし」を
  その価値を揺らすことなく、
  磨きき続けたいものです。

 

  社会の常識、それは時代とともに流れるもの。
  いつの世でも変わることのない
  天道のように、自分を見つめたいですね。