hitoriの卵焼き

砂糖味、塩味、しょうゆ味、不思議な味。あなたはどれが好きかな。

八十二日目  辻村深月   本は地球を救う?

 八十二日目  辻村深月

 

   大好きで夢中になれる「何か」を見つけてほしい。
   それはきっと、
   海に投げ出された時にしがみつけるブイのように、
   つらい現実に溺れそうな自分を救ってくれる。


  人によって、それはスポーツだったり、
  打ち込める仕事だったりする。

  私は本だった。

  第一に本の匂いが好き。
  最近は紙質やインクが変わってしまって、
  匂いがあまりしなくなったけど、
  昔の文庫本の匂いは最高。

  昼にゴロリと横になって本を読む。
  目が疲れてきたら、顔の上に広げたままの本を乗せ、
  昼寝をする。
  これが私の贅沢です。


  コンビニに立ち寄っても、
  まずは本を見ます。
  街の本やさんが少なくなって、
  古本屋さんも閉店して、どうしても欲しい本は
  コンビニで注文です。


  年に数回、ショッピングモールに行くことがありますが、
  本屋に足を運ぶのは当然のことなのです。


  本を見ていると落ち着くんです。
  便秘も解消するほどなので、私の体に合っているんでしょうね。

  斜め読みではダメですよ。
  集中して読むんです。
  するとぐっすり眠れます。

  だから、写真集とかマンガでは相性がよくないの。
  最近は名言の本が多いけれど、
  小説を書くときに役立ちそうなものは
  見つけたらすぐに買います。

  変わり種は、
  魔法魔術、日本のしきたり、闇職業、
  まだまだあるけど、書きだすのはやめておこう。

  意外に辞書を見るのも楽しいんだよ。
  好きな辞書は類語辞典と古語辞典。

  ああ、英語辞典はパスします。

  毎日、本に埋もれて寝ている私です。
  きっと、本が虫に食べられる前に、
  本がボロボロになっているはず。

 

八十一日目  フランツ・カフカ    くるみ割り人生だよ

 八十一日目  フランツ・カフカ

 

    神はクルミを与えてくださる。
    でも、それを割ってはくださらぬ。


  神はそれぞれ個々の人間に必ず素晴らしい特技を
  与えてくださっているものです。
  でも、それが何かは自分で見つけなくてはならない。
  体を動かすことに興味がわくかもしれないし、
  じっと座って本を読んだり、
  編み物や工作をすることが好きかもしれない。

 

    書物は
    我々のうちなる凍った海のための
    斧なのだ。


  何をするにしても、自分との戦いになる。
  やり遂げるため、
  生き抜くために学ぶことは必要ですよ。

  本が好きな人ならよいけど、
  苦手な人もいる。
  人から助言をもらうことも一つの方法。
  でもそこで注意しなければならないのは、
  その人の考えを聞くのではなく、参考になることを聞く。
  すべてを決めるのは自分自身。
  助言者の考えたロボットにならないように気をつけるべきです。


    人間には他のあらゆる罪悪がそこから出てくる
    二つの主な罪悪がある。
    すなわち短気と怠惰。


  うまくいかなかったら、すぐに諦めるのが短気。
  気乗りしないからと先延ばしするのが怠惰。
  どちらもよくあることですよね。

  自分がもらった特技、
  伸ばしたいなら、気長に続けましょ。

 

    あるのは目標だけだ。
    道はない。
    われわれが道を呼んでいるのは、
    ためらいに他ならない。


  なかなかゴールが見えないと、
  本当にこの道でいい?って
  進むことをためらってしまう。


  その時は自分を信じるしかないのさ。

 

八十日目 寺山修司   縁側でお茶しない?

 八十日目 寺山修司

 

   この世でいちばん遠い場所は
   自分自身の心である。


  わかっているようで、
  いつも自分の心に振り回されて、
  でも、それが新しい自分だったりする。

  いくつになっても、それはあるものよ。
  人の心には、自分も他人も気がつかない部分があるから。
  自分は知っているけど、見せない部分、
  自分が気がつかないけど、人からはすぐに気づかれている部分、
  自分も他人もわかる公けになっている部分、
  そして、どちらも知らない隠れた未知の部分。
  潜在的な領域かな。


   世界の涯てとは、てめえ自身の夢のことだ。


  死ぬまで夢を追い続けていたいわね。
  なかなかたどり着けないけど、
  着いたと思ったら、遠くにまた夢が見えるの。
  それが幸せってものじゃない。

  蜃気楼じゃない現実のもので、
  でも急ぐ旅でもなくて、
  楽しみながら進むのが夢。

  目的は進むことであって、
  たどり着いて、そこにどっかりと座ることじゃないの。
  


   どんな鳥も想像力より高く飛べる鳥はいない。
   人間に与えられた能力のなかで、
   一番素晴らしいものは想像力である。


  なりたい自分になるには、
  「なりたい」を具体的にイメージしなくちゃ。

  みんな いろんな「なりたい」があるんだろうな。
  だが、私はなぜか、いつも
  「暖かい縁側でお茶を飲む」場面なの。

  まるで古い昭和の映画だね。
  どこか旅行に行きたいなんていうのは、
  行けば終わりでしょ。
  でも縁側は、お茶を飲んでもそこで終わりにはならない、
  不思議な場所。

  あなたの好きな場所はどこ?

 

ナンセンス童話   きき耳ずきん   文春の記者なら欲しがるだろうなぁ

 

ナンセンス童話


     きき耳ずきん

 

 ある日、フリー・マーケツトで見つけた頭巾
 赤い、手垢のついた頭巾

 今ごろ、頭巾なんてかぶる者はいない
 「いやいや、これは珍しいものだから
 きっと、だんなの役に立つはず」

 売り主が無理やり押し付けてくる
 遠慮なんてしていないが
 押し売りは嫌だ

 「おいおい、もったいないことするな」
 売り主が教えてくれたことは
 「実はこの頭巾
 家宝になるほどのもの」

 「大きな声では言えないが
 内緒で教えてあげる
 これはあの有名なきき耳ずきん
 いろいろな声が聞こえる
 ただでもいいから持っていってくれ
 なんなら、このカバンもつけてやるよ」

 カバンを貰って得した気分
 カバの絵もついたカバンに頭巾を入れて
 持って帰った

 しかし、何だか気になるきき耳頭巾
 ちょっと使ってみようか

 うちの犬が何と言うか聞いてみよう
 庭におりて、犬のそばに座った
 頭巾をかぶって待っていたら
 隣の猫がやってきて
 犬と世間話

 二匹が話す、ご近所の噂話
 あれあれ、今度はうちのことだ
 なになに、うちの奥さんが毎日おめかししてお出かけ
 あらあら、いつもお迎えの車が来るだって
 なんたること、それは男

 聞かなきゃよかったような気分
 誰に聞いたと話せばいいの

 今度はスズメが飛んできて
 庭の木に止まって、おしゃべり

 あれあれ、ご近所の夫婦喧嘩の話
 なになに、次は泥棒の話

 しかし困った
 泥棒のことを聞いても、警察に何と言おう

 聞かなきゃよかったような気分
 誰に聞いたと話せばいいの

 捨てるに捨てられない きき耳頭巾
 私もフリー・マーケットで客に売りつけよう

七十九日目 美輪明宏  「いい女」になろうよ。

 七十九日目 美輪明宏


   私はこれまでの人生で、
   弱い女と強い男は見たことがない。


  女はわがままなのかな。
  女なんだから許されるという甘えで生きてる?
  旦那に養ってもらって当然?
  旦那の弁当は手抜きで、自分は友だちとランチ?
  文句言われると旦那の小遣いへらす?


  外見ばかり気にして、
  高い洋服で着飾って、
  朝からしっかりメイク。
  それって、何のため?


  美しい女になりたいの?

 

   美しい言葉遣い、立振舞い、教養、美意識。
   それが美しい女を作る。
   美しい女は、オペラと同じ総合芸術。


  他人が作ったお洒落で、
  街中は似たような人ばかり。
  みんなと同じでないと不安?


   お洒落とは
   「これでいいのよっ!!」
   と強烈な気迫でするもの。
   本当のお洒落な人は、
   自分自身がブランド。
   他人のブランドにしがみつく必要はない。


  人間、誰しも素晴らしいものを持っているはず。
  笑顔が何よりのお洒落。
  口から出る言葉も、思いやりのあるものなら、
  いつでも女神になれるよ。


   皆が喜んでくれる自分を演じるより、
   人目を気にせず、
   素顔の自分を表現すれば楽になる。


  「いい女」「素敵なあなた」になるために、
  そのままの自分を受け入れ、
  足りないとこはそのままで、
  いいところを伸ばそう。
  それでいいんだよ。


  

七十八日目  マリリン・モンロー   魅力はワインに似てる

 七十八日目  マリリン・モンロー

 

   若い人に魅力がないと言いたいわけじゃないけれど、
   男の人ってワインに似ているわ。
   寝かせれば寝かせるほど コクが出てくるの。


  若い人には、若さからくる魅力があって、
  年を重ねた人には、それなりの魅力があるもの。
  若い人にはマネのできない魅力ってあるんですよ。
  人間の深みというか味わいというものみたいなもの。
  それは、いくら外見で繕ってもダメなもののようで、
  不思議ですよね。

  女はみんな顔のシワを隠そうとするでしょ。
  でも、シワが魅力を増すことだってあるんじゃない。
  若い人にはないものだから、貴重品なのにね。

 

   美と女らしさは
   年齢と関係がないものだし、
   作ろうとして作れるものではないと思うの。
   そして、魅力は、
   こんなことを言うと、
   その専門の人たちは困るでしょうけれど、
   人為的に作りだせるようなものではないと思うの。


  魅力って、時間をかけなければ出来上がらないものでしょ。
  盆栽みたいね。
  長い年月をかけて、愛情を注いで育てるから、
  素晴らしい盆栽になる。
  人間の魅力も、自分を愛し、
  強さ弱さを理解して育てていくことで、
  出来上がるもの。

 

   他人になりたがるのは、
   自分という人間をムダにしているってことよ。

 

  他人のマネしてどうするの?
  他人と自分は違う生き物。
  性格や個性が違うのに、無理やり他人に合わせて、
  自分を捨てるの?
  
  人間、自分を捨てるなんてできないわ。
  顔を捨てるの?
  心を捨てるの?
  それで手に入れたものは、確実なものではないと思う。
  手で掴んでも、握れば崩れるもの、
  風が吹けば、どこかに消えていくもの。


  そのままの自分を受け入れ、愛してあげること、
  それが第一歩目ですよ。

  今でも素敵なあなただけど、
  もっと素敵になりますよ。

 

七十七日目 井上靖  文句たらたら言ってんじゃねえよ。歩け!

 七十七日目 井上靖

    努力する人は 希望を語り
    怠ける人は 不満を語る


  努力する人はめげない。
  失敗しても、次の方法を探す。
  それができるのは、成功の先を見ているから。

  これが完成したら、どんなにみんなが喜ぶだろう。
  人々の生活が変わり、楽しい時間が過ごせるに違いない。
  この薬が完成すれば、多くの人の苦痛を軽減できる。
  
  努力を続けることができる原動力は、
  社会貢献があるからです。

  決して自分の私利私欲のためではないんです。
  名声でもないんです。

  怠ける人の心に、社会のためという考えはありません。
  自分が怠けても、誰かに迷惑をかけるわけではない。
  自分がしなくても、誰かがする。

  そして、できない理由を探すのです。
  出てくるものは不満。

  
  出る杭は打たれる、この社会で努力を続けるのは大変です。
  でも、その紙一重の努力が、重なれば、本一冊の厚みになるのです。

  誰も無視することのできない、
  大きな山が突然に現れたかのように、
  人々は驚くかもしれません。

  そのとき、有頂天になれば、足元が揺らぎます。
  でも、最初の心、社会貢献と周囲の支えに忘れなければ、
  次の目標を見つけることができます。

  幸せな人生を歩むことがなによりです。

  成功、不成功より、充実した毎日を送りたいですね。
  不平不満はすぐに心から追い出しましょう。